

超高級車の代名詞、ロールス・ロイスは内燃式エンジンを捨て、脱炭素化を図ることを既に発表しています。そして、第一弾となる「スペクター」が先日、ヨーロッパ市場向けに公開されました。
ロールス・ロイス社として初となる電気自動車、250万㎞にも及ぶ走行テストを終え9月から生産を開始し、年内にはデリバリーが始まる様子です。-40℃から+50℃の過酷な環境下でも問題なく走ることを試験したほか、航続距離は520㎞(WLTP値:暫定)である、と謳われています。

ロールス・ロイス社の社長、トルステン・ミュラーエトヴェシュ氏がイギリスの老舗自動車雑誌「AUTOCAR」によるインタビューがちょっとした話題を呼んでいます。というのも早い話、「ロールス・ロイス車への燃料電池の搭載は今後、検討するかも」と発言したのです。
水素を燃焼するのは非効率、とインタビューでは回答していたものの、水素社会の到来が本格化すれば電気自動車(BEV)から燃料電池車の投入に乗り換えることあり得る、とまで突っ込んだ内容が紹介されています。
世界的な夏や冬における電力不足、バッテリーに必要とされるレアアース、充電時間など、まだまだ課題があることが誰しもが認識しているはずです。そんな背景を感じさせる、燃料電池車の投入への言及にも感じられます。
もっとも、MiraiEnergyでは・・・、ポジショントークであろうことも認識しています。ロールス・ロイスの親会社、BMWはトヨタから燃料電池の供給を受けていますし、BMW Z4とトヨタ・スープラが兄弟車(厳密には同プラットフォーム車:ドイツの独禁法抵触の恐れからやや面倒な開発ステップを踏んでいます)と両社は“近しい”間柄と呼べるでしょう。
事実、今年、少量生産でのフリート運用が発表されたBMW iX5 Hydrogenの燃料電池はトヨタ製のものを搭載しています。

BMW iX5 Hydrogen
水素は海水から安価に取り出す基礎研究も進んでいます。オーストラリアのアデレード大学やインドのITTマドラスによる研究、かなり興味津々です。個人的には・・・、脱炭素よりも「脱原油」が世界をどう変えるのか、まで気になっています。