以前、MiraiEnergyではオーストラリアの天然水素田の話を取り上げました。本当に様々な天然資源に恵まれているオーストラリアが羨ましいかぎりです。そして、今度はアメリカから興味深い話題が飛び込んできました。ビル・ゲイツがクリーンエネルギーを掘削するスタートアップ、アメリカ・デンバーに本拠地を構えるコロマ(Koloma)社に出資をしたことが話題になっているんです。
具体的にはビル・ゲイツのBreakthrough Energy Ventures、Energy Impact Partners、Evōk Innovations、Prelude Ventures、Piva Capitalから9100万ドルの支援を受けているそうです。ビル・ゲイツが投資するから云々ではなく、彼(世界有数の大富豪)の周りには超優秀な投資判断者が集っているものです。そんな投資判断者たちが将来性を見越している「水素掘削業」に興味津々なのです。もしプロジェクトが成功すれば、クリーンエネルギー革命を加速させ、1兆ドル市場を開拓する可能性があります。
ペンシルベニア州セントラリアに住むトム・ダラー一家が、地下の石炭火災によって避難を余儀なくされてから37年。ケネディ政権時代に始まった火災は、数十年経った今も地下の石炭層で燃え続け、二酸化炭素と有毒な硫化水素を噴出し、セントラリアをゴーストタウンにしてしまいました。これはアメリカ史上、最も長く続いた環境災害のひとつです。
トム・ダラーはオハイオ州立大学の地球科学の教授であり、コロマ社の共同設立者であり、CTO職も兼務。ダラー氏は、水素の発見と効率的な抽出に関する特許を16件出願しており、石油やガスを掘削してきたのと同じように水素を掘削する未来を見越しているのだとか。
「水素はすべての大陸にあります。どれだけの量があるのか、その規模は計り知れません」というコメントまで。実際、水素関連投資を専門に行っているNATURAL HYDROGEN VENTURESが公開している地図には、日本も含まれているようですね。
2年前にひっそりと設立され、現在まで静かに活動してきたコロマ社は、アメリカ中西部で試験掘削し採取した岩石とガスのサンプルをダラーのコロンバスの研究所でテスト。どの場所が水素の量と純度が最も優れているかを調べているんだとか。
なおトム・ダラーのほか、共同設立者であるピート・ジョンソン最高経営責任者(CEO)、キャリー・フダク(COO)、ポール・ハラカ最高事業責任者(CBO)は、これまで一度もメディアとこの会社について話したことがないため、商業運転の開始時期については明言していません。しかし、もしコロマ社の話が正しければ、10年以内に数百億ドルの収益を上げる可能性があります。
水素は「単体では自然界にほとんど存在しない」、「地球上では水、化石燃料、有機化合物などの形で存在する」と学んできたのに、掘れば出てくる時代が到来したら、面白いですよね?!これぞ水素黄金時代・・・、まさに「ゴールド水素」です。あっ、「ホワイト水素」とも呼ばれていますので、あしからず。