JCBと聞くと日本のクレジットカード会社を思い浮かべてしまいますが、イギリスに本拠地を構える重機メーカーにも同じ名称の会社が存在します。日本での存在感は薄いかもしれませんが、一時はジャガー・ランドローバー買収が噂された会社でもあります。
そんなJCB、既に一部の小型重機においてBEV(蓄電池駆動車)の販売を行っていますが、この度、水素燃焼エンジンの搭載も試みたようです。脱炭素はバッテリー駆動だけじゃない、とJCBでは提唱しているのだそうです。また、同社は水素自動車の未来に強気で、将来のトラクターや建設車両向けに70基以上のプロトタイプ・エンジンを開発してきたそうです。
今回、お目見えしたプロジェクトは、水素の利点を他の関係者に紹介するために企画されたもので、自社が保有する車両2台を改造してみた、ということです。7.5トン・メルセデス・トラックに水素エンジンを搭載した後、ディーゼルエンジンを搭載したメルセデス・スプリンター・バンにも水素エンジンを搭載。
エンジン容量や出力の詳細は明らかにされていませんが、JCB会長のアンソニー・バンフォード卿によると「牽引力とトルク特性は一般的なディーゼルエンジンと同じ」だと仰っています。また、一般消費者向けに水素燃焼“キット”を販売する予定はなく、あくまでも脱炭素はバッテリーだけじゃないことを示したかったのだとか。
もっともJCBの立場としては燃料電池は高すぎるので、燃料代わりに使おうぜ、というものです。理論上、水から生成できる水素は、どこでも生成できる、CO2排出量ゼロという点で夢が詰まった燃料なのだということでしょう。ダイヤモンドが人工的に作られる時代がやってきたように、水素生成技術への革新があれば本当に世の中は変わる・・・、かもしれません。
同じくイギリスでは、トヨタがハイラックスの燃料電池車を作りました。イギリス政府のCO2排出量ゼロにまつわる補助金を受けたプロジェクトで、合計10台が生産されるそうです。過去にはハイラックスのBEV仕様も作ったことがあります。なお、ハイラックスの燃料電池車の航続距離は587㎞と謳われています。
「さすが燃料電池車、BEVより多く走れるね」って思うかもしれませんが、例えばオーストラリア仕様の2.8lディーゼルエンジン搭載車の航続距離は・・・、1150㎞なんです。脱炭素のために、どこまで消費者が制約を受け入れるのか・・・、ってちょっとだけ思ってしまいました。