電気自動車の世界販売台数は今年も過去最高を記録しそうで、自動車市場全体に占める割合は2023年には5分の1にまで拡大すると予想されています。これに加えて、ゼロ・エミッションのバス、配送バン、トラックも急増しており、電気自動車(EV)の普及は、送電網と充電インフラに与える負担について懸念を引き起こし始めているのです。
消費者や企業がネットゼロ目標を達成するためにEVに移行するのに伴い、EV充電の需要は今後急増すると予想されています。国際エネルギー機関(IEA)の試算によると、2040年までに輸送用の電力需要が3分の1以上増加するとしており、世界的なエネルギー転換が勢いを増す中、将来のEV充電にとって最も重要な検討事項のひとつは、再生可能エネルギーとの統合です。
そこでバラード社が提案するのは、定置型燃料電池を用いた充電施設の提供です。水素をどこから、どのように調達するのか、については言及されていませんが・・・、まぁ、将来的には再生エネルギー由来の水素を用いて・・・、と考えての提案でしょう。強力で高効率の定置型燃料電池システムは、電力網から独立して作動することができ、フリートオペレーターは独自の分散型充電インフラを構築することができる、とバラード社では謳っています。
想定ユーザーは配送バン、トラック、バスなどを用いた商用フリート運営者です。というのもバラード社によるとこれらフリート運営者のデポにおいて約25%は十分な送電網を有していない、と試算しているのです。また、EVフリートに対応する充電設備を拡張するには、コストと時間がかかる、とも。
バラード社が提案するのは40フィートのコンテナに収まる、燃料電池による電力供給設備です。6つの200kWシステムを備えた40フィートのコンテナで提供され、1MWのAC正味電力を供給します。この“コンテナ化”されたシステムにより、現場での設置時間が短縮され、既存の電力網から独立した電源になる、というものです。また、このコンテナ化のもうひとつの魅力は、拡張性が高いことです。フリート・オペレーターは、充電インフラをそれぞれのニーズに合わせてカスタマイズすることができ、フリートが拡大するにつれて、燃料電池システムを追加導入して需要の増大に対応し、充電サービスを中断させないようにすることができる、と謳っています。
要は小さな発電所を設置しましょう、って話ですよね。まぁ、日本ではちょっとイメージしにくいですが、離島・僻地での活躍は想像しやすいです。蓄電池に対する優位性も試算して欲しかったな・・・、と思っています。そして、ダメ押しでこの定置型燃料電池用の水素タンクから、燃料電池車への水素の提供も可能と謳っていましたが・・・、なんだかこじつけ感が強かった印象です。
MiraiEnergyは必ずしもEV(BEV)に反対の立場ではありません。が、商用車での蓄電池がどれほどの耐久性を要するのか・・・、ヒジョーに気になっているところです。現在のディーゼルトラック、凄まじい耐久性と信頼性を有していますからね。