12月18日付けで出されたトヨタのプレスリリースが気になるので、メモがわりに記事にしておこうと思います。題名は「トヨタ、タイ10時間耐久レースにプリウスで参戦」です。

「12月22日・23日にタイのチャーン・インターナショナル・サーキットで行われる「IDEMITSU SUPER ENDURANCE SOUTHEAST ASIA TROPHY 2023」(以下、タイ10時間耐久レース)に、カーボンニュートラル燃料を使用したGR86「ORC ROOKIE GR86 CNF concept」、水素エンジンカローラ「ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept」、そして、新たに加えたプリウス(HEV)「CP ROOKIE PRIUS CNF-HEV GR concept」の3台を、ROOKIE Racingの参戦車両として投入します。今回新たに参戦するプリウスは、市販の車両をベースに開発したものです。市販のプリウス(HEV)でレースに参戦するのは、トヨタとして今回が初めてです。」

と参戦車両、ならびにドライバー(MORIZO、小倉 康宏、Kachorn Chiaravanont(カチョーン・チャラワノン)、佐々木雅弘、片岡龍也、石浦宏明、大嶋和也、蒲生尚弥、山下健太、平良響、加藤恵三、豊田大輔)がサラっと発表されていました。

MORIZOは豊田章夫トヨタ自動車会長」、小倉康宏は「小倉クラッチの創業社長」(株主にお騒がせの人物名がありましたが、別な機会に・・・)、そして、豊田大輔は・・・、豊田章夫会長の息子さん、と錚々たる面子です。そしてタイ側から参戦したのはKachorn Chiaravanont(カチョーン・チャラワノン)。タイでトヨタとカーボンニュートラル社会の実現に向けて協業を発表したCharoen Pokphand Group(以下、CP)の執行役員兼、CPの交通サービス事業を担うTrue Leasing Co., Ltd.の社長です。

このチャラワノンさん、単なる社長ではありません。ちょっと複雑な話ですが、CPを現在率いる“当主”は2代目にあたる、ダーニン・「チェラヴァノン」。創業したのはダーニン・チェラヴァノンの父親とその兄弟なんです。っで、カチョーン・チャラワノン社長はダーニン・チェラヴァノンの甥っ子に当たる人物で、れっきとしたCP創業一族です。アジア有数の大富豪一族で、総資産は4兆円を超える、と噂されています。

アジアで超富裕層と接していてよく耳にするのは、“創業家同士じゃないと話にならん”です。どうやら創業家の責任感や長期ビジョン(目先の利益を追わない)は、いわゆるサラリーマン社長とはまるで違う、ということらしいのです。だからかこのトヨタのプレスリリース、異例な内容だったように感じます。というのも、さほど長くない文量のプレスリリース内で「仲間」という言葉が9回も登場しているんです。ここまで多く「仲間」を使ったプレスリリース、ほかにはないかもしれません。

英文プレスリリースでは「パートナー」という言葉が用いられていますが、本来は「フレンズ」であるべきだったのでは、と思うほど・・・、豊田家とCP一族(チェラヴァノン、チャラワノン、そしてジャラヴァノン)の家族同士の付き合いを重んじるようなニュアンスを感じ取った次第です。もちろん、ビジネス主眼のプレスリリースではなかったからこそ「仲間」で通したのかもしれませんが・・・。

もとい。

そして、気になったのが「FCドローン」です。わざわざプレスリリースに記載しておきながら、ここまで情報が少ない話題も珍しいかもしれません。CP側のプレスリリースを漁ってみると、今回で2度目の実証実験でCPが保有する農場(超巨大:養鶏場、養豚場は世界最大規模)における種まき、ならびに肥料散布における活用が見込まれているようです。サイズ、積載能力、飛行可能時間、小型FCや小型水素タンクの汎用性、気になることは色々あります。

「CPの養鶏場の鶏糞から生成されたバイオガスと、トヨタの拠点であるToyota Daihatsu Engineering & Manufacturing Co., Ltd.(以下、TDEM)で発生した廃棄食料から生成されたバイオガスを使い、TDEMの水素製造機で製造した地産地消の気体水素を、水素エンジンカローラの燃料の一部に使用します。」

という文章も気になりますが・・・、詳細は一切ありません。続報を待つしかないのでしょうね(笑)。