トヨタがひっそり、こっそり電動自転車の登場を発表していました・・・、フランスで。海外のメディアは“アンチEVのトヨタが電動自転車発表”と取り上げがちで・・・、辟易します。
トヨタのフランス法人「Toyota Motor Manufacturing FranceS.A.S.(TMMF)」は昨年7月にランスのカーゴバイク専門店「DOUZE Cycles」との協業を発表していました。そんな第一弾がいよいよ姿を現しました。100kgまたは容量300lまでの荷物、子供3人もしくは大人1人を乗せることができる850mmの長い荷台を持つ、電動カーゴバイクです。
DOUZEの「HÊTA」というモデルがベースになっていて、ヤマハ製のモーターとバッテリー(500Wh)を搭載しています。なお、HÊTAは「BAFANG M500」または「SHIMANO EP8 Cargo」の電動モーター(いずれも250W)を搭載していますが、トヨタのものはヤマハの250Wユニットを搭載しています。
また、バッテリーもHÊTAは「SHIMANO 36V 630Wh」または「DLG D1 48V 672Wh」のどちらかを選べるのに対し、トヨタは「ヤマハCrossover 500Wh」を搭載しています。スペック上はトヨタのものが見劣りするような気がしてなりませんが、何らかの理由がある選択でしょう・・・。
なお、HÊTA の充電時間や航続距離は明らかではありませんが、トヨタのものはフル充電に要するのは4時間で最大100km走るとか。ギアはHÊTAと同じ、「SHIMANO DEORE – 10 vitesses 」をそのまま搭載しています。リサイクル材によるアルミフレーム、ポリマー製部品を使用することでサスティナブルな構造であるのは、HÊTA譲りです。
なんでもフランスでは、自動車から自転車や電動自転車に乗り換える人に最大4,000ユーロ(4,350ドル)のインセンティブを提供する制度にあるのだそうです。また、自動車を手放したくないが、毎日の通勤に電動自転車を使いたいという人には、最大400ユーロ(435ドル)の補助金が支給されるんですって。
また、最近、温室効果ガス削減でよく登場するラストマイル・デリバリー(物流における最終段階で小口の配送を指します)戦略の一環で、電動化トラック/ミニバンを補完するもの、とも言われています。いずれにせよ、フランスにおけるトヨタのディーラー網300店舗で販売されるので、結構な力の入れようです。なお、トヨタの電動カーボバイク、今のところ価格は不明ですが、フランスにおけるHÊTAは5890ユーロ~です。
最近、自動車メーカーによる電動自転車の投入が相次いでいます。モビリティの一環なのか、自動車と親和性の良いライフスタイルの一環なのか、定かではありませんが・・・。多くの場合、協業だったり、自動車メーカー名を用いたライセンス商品だったりするのですが、ポルシェの場合はドイツの電動自転車メーカー「ファウツァ」(ファウザと呼ぶところもあるようですが、ドイツ語でFauzaは・・・)を完全子会社化しているほどです。
ファウツァは軽量電動自転車の“ドライブトレーン”に強くBottecchia、Canyon、Corratec、 Fuji、Cairn、Herculesなど実に40のブランドにモーターとバッテリーを供給しているそうです。このドライブトレーンはモーター、ギア、センサーを備え静粛性に優れているだけでなく、他社を凌駕する軽さを誇るそうです。
ポルシェはオランダのポンホールディングス(Cannondale、Schwinn、Cervélo、Santa Cruzなどの自転車ブランドを所有)とJVを立ち上げ、「マイクロモビリティ」のソリューション提供も行う、と発表されています。ポルシェによる電動自転車進出は、カーボン・ニュートラル時代において、電動自転車が今以上に流行る、と目論んでいるからでしょう。