発表から実に5年の歳月が流れ、今年12月からいよいよテスラの大型トラック(クラス8)、「セミ」が発売されます。最大トルクを瞬時に発揮できる電気モーター(3基搭載)ならではの利点を生かし、ヘッド(牽引車両)だけなら0→100㎞/h加速は5秒、車両総重量36トンの荷物満載状態でも20秒という性能を有しています。

気になる航続距離は約500kmと800kmの2グレードを用意しています(想定:総重量36トン、時速100km走行)。法律ではドライバーは4時間の運転ごとに30分の休憩を取ることが定められており、30分あればセミ専用充電器「メガチャージャー」で最大650km分が充電可能なため、充電待ちの時間を無駄にする心配はないそうです。

おまけに回生ブレーキは半永久的に持ち(イーロン・マスクCEO談)、既存のトラックよりは格段にメンテナンス費用が抑えられるそうです。パワートレインは100万マイル(160万㎞)保証、フロントガラスは強い衝撃にも耐えられ、電気モーターが3つ搭載されていることから1つや2つ故障しても整備工場まで自走可能だと謳われています。

なお、アメリカでは連邦政府が「インフラ投資・雇用法(Infrastructure Investment and Jobs Act)」(別名「超党派インフラ法」)を成立させ、EV充電ネットワークを構築するための75億ドルも配分されています。そして、ジョー・バイデン大統領が掲げる目標は、電気自動車やトラック用の充電スタンドを50万カ所つくることです。内燃式エンジンの販売をこれから規制し、このようなバックアップがあるから、いっきに電気自動車へと舵を切ろうとしているのでしょう。

長距離トラックは水素トラック(燃料電池や水素燃焼)向き、と一般的には言われていますが、テスラ・セミの登場がゲームチェンチャーとなるか否か、要注目です。そして・・・、日本もアメリカのような大胆な水素ステーションの拡充が必要なのかもしれませんね!なんなら世界中の水素ステーション建設もODAで・・・。

個人的に気になるのは・・・、トラック・レースの行方かもしれません。

アメリカではこんな大型トラックのレースがあったり・・・

ヨーロッパではこんな大型トラックのレースがあったり・・・

このようなレースに、テスラ・セミによる殴り込みがあったら、もっと面白いのに。

そういえば、水素で面白い話がありました。シンガポール国立大学の研究員たちが、水素を作る電解効率が「光」の有無で変わる、という発見をしたんですって。しかも、発見したのは、水素生成中にたまたま研究所が停電したから・・・。この発見を裏付けるために3年の月日をかけて、検証したそうです。

水素は「Freedom Energy(地理的要因、産出国への依存などからの解放)」と一部の化学者からは呼ばれていました。さらなる技術の進歩で、どこでも、誰でも容易に大量の水素を生成せきる時代・・・、待ち遠しいものです。

なお、ルノーがテスラ向けに皮肉たっぷりなCMを作ったようです。「新車発表する会社もあれば、実際にクルマを走らせる会社もある」と既に電動トラックを発売していることをアピールしています(笑)。