VWといえば、電気自動車に舵を取ることを全面に打ち出しているばかりか、テスラのイーロン・マスクCEOと一緒に燃料電池や水素を“ディス”っていたのが、VWを退任したディース元CEOです。

Volkswagen CEO Herbert Diess
Photo by Gisela Schober/Getty Images for Volkswagen AG

「自動車に水素を用いることはない」、「10年経とうとも水素を用いることは理にかなっていない(駆動用バッテリー+電気モーター+燃料電池という構成よりも、駆動用バッテリー+電気モーターでいいじゃないか、という趣旨)」などコメントがフィナンシャルタイムズに掲載されたこともあります。

そんなVWですが・・・、ドイツの燃料電池メーカー、Kraftwerk Groupと共同で新しい燃料電池の特許申請を行ったことが明らかになっています。従来のポリマー燃料電池と違い貴金属のプラチナを使用しないため、製造コストが大幅に削減できる見込みだそうです。

現代自動車やトヨタ自動車が燃料電池に使用する「プラスチック膜」に代わり、セラミック製の膜を使用するそうです。プラスチック膜は水にぬらす必要があるため冬に凍結、夏に乾燥やカビの不安があるそうですが、セラミック膜は大丈夫だそうです。

また、Kraftwerk Group社では燃料電池車の航続距離はリチウムイオン電池の進化ではなく、固体式電池の採用がカギとも見ているようです。それこそ、1度の水素充填で2000kmは走れるだろう、と見込んでいるとのこと。

なお、VWは最近の業績発表では電気自動車の売上アップを盛んに謳っています。しかし、ちょっと調べてみると過去にはスタンフォード大学と白金使用量を大幅に削減させた燃料電池を作ってもいました。燃料電池をディスり続けながら、どんどん燃料電池を進化させているような雰囲気です。ディースCEO退任後、方針転換を打ち出すのか否か、ちょっと気になるところです。