2019年にフランスで産声をあげた、高級燃料電池車両メーカーが「ホピウム社」です。創業したのは、オリビエ・ロンバード。2011年、ル・マン24時間のLMP2クラス優勝(最年少:当時20歳)を飾った実績ある、レーシングドライバーです。2020年12月にはサクッとユーロネクスト・アクセス・パリにティッカー:MLHPIで上場し、時価総額は1170万ユーロでした。

失礼ながら、それくらいの規模の会社で燃料電池車開発のコストが賄えるのだろうか、と思ったものでしたが・・・、話はどんどん進んでいる様子です。昨年は、プレスリリースを読んだだけではちょっとよく分からないブロックチェーンに手を出し、今年始めは元フランス内閣の交通大臣、ジャン=バティスト・ジェバリを会長に迎え入れたことでちょっとした物議をかもしていました。

https://youtu.be/bqRpg_E9Hs0

そして、先週開催されていたパリサロン(モーターショー)で発表されたのが・・・、フランスの大手金融機関「クレディ・アグリコル」のグループ会社である、「クレディ・アグリコル・コンシューマー・ファイナンス」が展開する「アグリオート」(一般向け自動車リース)によるホピウム・マキナ1万台購入の覚書締結です。1台12万ユーロですから、ホピウム社にとってはいっきに12億ユーロの“販売見込み”が立ったということです。

気になるマキナの詳細ですが・・・、0→100㎞/h加速5秒、最高速度230㎞/h、航続距離1000㎞、水素充填時間は3分、デザインを担当したのはフェリックス・ゴダード氏というくらいしか今のところ明らかにされていません。なお、生産拠点はノルマンディに構え、2025年から年産2万台を見込んでいるとか・・・。

一瞬、トヨタの燃料電池技術でも導入するのかな、と思いがよぎったのですが・・・、水素タンクはプラスティック・オムニウム社製と発表されましたし、MIRAIの0→100㎞/h加速とは大幅に数値が違います。

MIRAIENERGYではオリビエ・ロンバードがかつて、「グリーンGT」という会社が開発している燃料電池のレーシンカーに乗っていることに注目しました。特に公けに発表されていることはないのですが、ここから技術供与されているのかなぁ、と思っています。

いずれ答え合わせができるでしょうが、レーシングドライバーが興した高級燃料電池車メーカーの行く末が気になるところです。テスラだって最近までは赤字続きでしたし、イーロン・マスク氏は一時期、破産寸前まで追い込まれていた事実があります。それが今では世界一の大金持ち、という大どんでん返しです。

電気自動車メーカーのリマック社だって、“ポッと出”のクルマ好きが作った会社で、今ではブガッティを傘下に収めるほどに急成長しています。「オリビエ・ロンバード」と「ホピウム社」、しばらく目が離せません。

 

 

 

 

 

 

 

そんなホピウムが投入しようとしているのが「マキナ」というモデルです。

 

 

そんなオリビエ・ロンバード率いるホピウム・・・、謎に包まれた会社です。