フォーミュラEをご覧になっている方は、「スパークレーシング」をご存じかもしれません。同社は10年前から、ルノーとともにフォーミュラEの研究開発をしている会社です。来たる2023年シーズンもスパークレーシングはフォーミュラEに参戦し、同社の実力と信頼を見せつけてくれることでしょう。

そんな高性能電動パワートレインの最前線にいるスパークレーシングが、電動アシスト自転車を開発するとしたら・・・、ワクワクしませんか?LMX 56は、これまでの常識にとらわれないハイパワーな電動マウンテンバイクです。LMX 56は、スパークレーシングがフランスの自転車メーカー「LMX」と組んで実現したeバイクで、LMXが「eバイクに見せかけたトライアルバイク」と表現するほどパワフルなバイクです。

では、どれくらいのパワーが必要なのでしょうか?ヨーロッパでは、e-bikeの公称出力は通常250Wに制限されています。LMX 56は、この10倍・・・、2.5kWのピーク出力を達成しています。モーターにはオイルに浸したヘリカルギア減速機を採用し、事実上メンテナンスフリーのモーターを実現。と同時に、“オイル漬け”により温度上昇を抑えながら高速回転させることができます。

電気モーターは、ペダルアシストまたはハンドルバーマウントされたスロットルによって、最高速度45km/hまで駆動することができます。というわけで、ヨーロッパでも日本でも公道走行はできません・・・。私有地にて楽しむためのeバイクですが、サーキット内の移動とか、トレイル走行とか、楽しむ場所は様々。

LMX 56という名称は52V、20Ah、21700のバッテリーパックに搭載されたセルの数を表す「56」が由来です。合計56個のセルで1kWhの容量を持つバッテリーパックは、なかなかの性能です。航続距離はまだ発表されていませんが、かなりの距離を走れることが予想されます。

バッテリーはフレーム内に格納され、温度、消費量、長寿命化のための診断をモニターするCANバス機能が搭載されています。また、モーターとバッテリーの設定をさらに最適化するためのモバイルアプリも用意。

LMX 56に搭載されたパワーとテクノロジーを考えれば、高額な価格設定も致し方ありません。選択する仕様にもよりますが、7800ユーロ~8262ユーロで販売されており、年内には配送が開始される予定です。もはや、eバイクではなく、オートバイの値段ですが、面白そうです。

燃料電池を搭載したハイパーな自転車、なんていうのもそろそろ見てみたいものです。