今年、気になっているクルマがこのNAMX HUVです。NAMXは 「N」ew 「A」utomotive and 「M」obility e「X」plorationの文字を組み合わせたブランド名でモロッコ人、ファオジィ・アナヤ氏とフランス人デザイナー、トマス・ドゥ・ルザックがフランスで設立した会社です。SUVならぬHUVとは・・・、Hydrogen Utility Vehicleと新しいジャンルを打ち出しています。Hydrogenですので、燃料電池車です。

2025年からデリバリーを開始し、既に事前オーダーは受付中だそうです。今年6月には老舗ピニンファリーナと一緒にコンセプトモデルのお披露目を行っていますし、10月にはパリサロン(モーターショー)に出展していました。

HUVは2グレード用意され、エントリーモデル(後輪駆動)の最高出力は300ps、0→100㎞/h加速は6.5秒、最高速度200㎞/hと謳われています。一方、上級グレードである「GTH」(全輪駆動)は最高出力500ps、0→100㎞/h加速4.5秒、最高速4.5秒になるそうです。気になるお値段は6万5000ユーロ~9万5000ユーロになるとか。

HUVの特徴はメインタンクのほかにカートリッジ式の着脱可能タンクをリアバンパー付近に6本装着していることです。メインタンクで500km分の走行をまかない、残り300km分を6本の水素カートリッジ(特許申請済みらしいですが確認できません)でまかなうそうです。

独自の水素カートリッジステーションを各所に展開することで、容易に入れ替えができるんですって。なお、カートリッジ1本の交換は30秒で終わるそうです。水素ステーションがなくとも、あらかじめ水素が充填されたカートリッジにアクセスできれば、航続距離に不安はない、というコンセプトだそうです。

このニュース、世界各国の自動車サイトが取り上げているのですが・・・、ちょっと謎です。そもそも、水素カートリッジ、リアバンパー付近に設置するのは自動車デザインとしていかがなものでしょう???後方の衝突安全性、水素カートリッジの安全性がどのように担保されるのか、気になってしょうがないです。

ピニンファリーナにモックアップ製作を依頼するくらいですし、パリサロンに出展もしましたから、それなりにNAMX社に資金力はあるのかもしれません。Morocco World NewsによるとNAMX社のステークホールダーには以下の人材が揃っている、と報じています。

イブラヒマ・シソッコ(30社以上起業させている起業家)
ピエール・イヴ・ジール(マトラオートモーティブ戦略部出身)
アラン・ディボアン(ルノーR&D部長)
ムスタファ・モカス(クリーンエネルギー・カーボンファイナンスのプロ、世界経済フォーラム・ヤンググローバルリーダー選出)
ラファエル・シュテゲン(ハイドロジェン・ヨーロッパ会長、水素エキスパート)

気になるファオジィ・アナヤ社長は・・・、今までネットで学生と会社を繋げるウェブサービスを提供する会社を経営していた人物です。2013年から1年間、フランスのVW商用車セールスマンを務めたことはあるようですが・・・。ちなみにNAMXは、アフリカとヨーロッパを繋ぐプロジェクト、メイン市場はサウジ首長国連邦なんだそうです。いやぁ、気になってしょうがないです。

インターネットバブル期、いわゆる“スーパーカーメーカー”が脚光を浴び、新興メーカーが世界各地で続々と誕生して、投資資金を募ったものです。そして、多くは消えていきました。昨今の脱内燃式エンジン車の流れに伴い有象無象と誕生する新興自動車メーカー・・・、あの頃と似た大きなうねりを感じてしまいます。