日本のトヨタのニュースリリース、世界のトヨタのニュースリリースと同じ、ではないんです。まぁ、世界各国のトヨタ・ニュースを日本で展開したら、情報過多でニュースが埋もれるので日本でリリースするものは、日本で選別されているのでしょう。そんなことんなで、MiraiEnergyが「おっ?」と思ったのは、トヨタ・ヨーロッパが出していたニュース・リリースです。トヨタ・ヨーロッパとしては“BEVの展開が遅い”(環境対策の遅れ)、という批判に対応すべくニュース・リリースし、トヨタ日本としては“大々的に謳うほどの規模ではない”と控えめなスタンスなのだと、勝手に推測しています。

5月10日付けでトヨタ・ヨーロッパが発表していたのは、ポルトガルのカエタノ・バス社による、燃料電池バスの躍進です。2018年からトヨタが燃料電池を供給し、2019年からは実証実験を行っていた提携先です。

欧州議会のあるストラスブール市は今後数年間、水素モビリティに投資する意向なのだそうです。カエタノ・バス社は、同市から水素で動く燃料電池バスの供給を受注した最初の企業です。今後5年間で最大60台の「H2.City Goldバス」が供給される予定、単一のバス事業者が供給する燃料電池バスとしてはフランスで過最大の枠組み契約なんでそうです。また、これはヨーロッパの燃料電池バス市場において現在、最大の受注残でもあるそうです。

H2.City Goldバスは、フランスでは2022年からラ・ロッシュ・シュル・ヨンのRATP社で運用されています。レ・サーブル・ドロンヌ市は今年、最初のユニットを受け取る予定で、2022年末には、H2.City GoldはCATP(Centrale d’Achat du Transport Public)のカタログに選ばれました。さらに、H2.City Goldのデモバスがフランスのいくつかの都市でデモ走行を行っています。バス事業者、運転手、乗客からのフィードバックは、非常にポジティブなものだったとか。

また、現在に至るまでにドイツ鉄道からH2.City Goldバスを60台、イタリアのバス会社SASA Bolzanoから5台、スペインの公共交通機関のEMTマドリッドから10台を受注しているそうです。

カエタノ・バス社とトヨタの共同ブランドであるH2.City Goldは、アルミニウム製ボディの標準的な低床軽量バスです。2024年からは、新世代のトヨタ燃料電池スタックを搭載する予定で容量44kWhの小型LTO(リチウムチタン酸化物)バッテリーパックと、ピーク出力180kWのパワートレインが搭載されます。これによりH2.City Goldは、1回の水素補給で500km以上の走行が可能で、従来のディーゼルバスに匹敵する航続距離を誇ります。

黙々と、着々と、燃料電池バスの展開が図られている様子が伺えます。なお、自動車情報サイト「マークラインズ」が掲げたヘッドラインで、気になったものがありました。トヨタ傘下のカエタノ・バス社???

カエタノ社はトヨタの古くからのパートナーで、1971年からポルトガルにおいて現地生産を行っているパートナーです。1972年にはトヨタがカエタノに27%出資したそうなんですが・・・、「’72」をひっくり返して27%出資を決めたなら、ユーモラスでカッコ良くさえありますね。

一方、カエタノ・バスは三井物産が2017年に出資をした先でもあります。ただ、同社を「トヨタ傘下」と謳えるのか否か・・・、気になるところでした。