フランスのスポーツカーコンストラクターであるリジェ・オートモーティブは、ボッシュと提携し「リジェJS2 R」レーサーをベースにした水素エンジン車両を、今年のル・マン24時間レースで発表する予定だそうです
ボッシュはLMDh車両のハイブリッドシステムのうち、モータージェネレーターユニット、インバーター、車両制御ユニットを供給。リジェによると、この協力の目的は「従来のガソリンエンジン搭載のスポーツカーと同等のドライブダイナミクスを実現する、水素エンジン搭載の高性能車を作ること」なのだとか。
1975年にル・マンで2位となった「リジェJS2」にちなんで名付けられた「JS2 RH2」は、3つの水素タンクを搭載し、水素を燃焼するために改造が加えられたV6エンジンを積んでいます。ボッシュはエンジンや水素貯蔵タンク、安全コンセプトなど車両コンセプト全般を統括し、リジェは車両アーキテクチャ、H2システムの統合、冷却を担当します。
「レーシングカーと特殊車両のメーカーとして、モータースポーツと高性能車に新たな発展の道を提供するために、明日の課題に対応するイノベーションを提供しなければならない」とリジェ・オートモーティブ社長のジャック・ニコレ氏。
水素を燃料とする内燃式エンジンで先鞭をつけたのはトヨタです。水素エンジンを搭載したカローラを、スーパー耐久で走らせています。また、昨年のWRCラリー・イープルでは、水素エンジンを搭載したGRヤリスも走らせました。
ル・マンの主催者であるACO(フランス西部自動車クラブ)も、GreenGTとのジョイントベンチャーを立ち上げ、LMP3車両ベースとした水素燃料電池車のMissionH24で、従来のエンジンで走るLMP3車両やGT3と競い合うプロジェクトを進めています。
ACOは2017年、ル・マンでゼロエミッションクラスを設立するためにワーキンググループを立ち上げ、レッドブル・アドバンスト・テクノロジーズとオレカがコンセプトシャシーを設計する計画を明らかにし、2024年の発足を目指していました。ただ、カテゴリー分けの議論が長引き、設立は早くても2026年まで延期されることが決まっているそうです。
なお、リジェ・オートモーティブは、LMP2およびLMP3シャシーのサプライヤーとして承認されており、現在はランボルギーニと共同で次期LMDhプロトタイプを開発中です。