最近、日本のテスラ・オーナーの話で話題になったのは、高額なバッテリーの交換費用です。その額、約230万円。クルマを動かせるほどの電気を蓄える高性能・大容量バッテリーですから、やむを得ないのかもしれません・・・。当該テスラ車は初年度登録から9年が経過した車両で、テスラ社によるバッテリー保証は8年まで。乗り続けるなら、230万円払うしかありません。

ちなみに、あまり世間では注目されていませんが・・・、メルセデス・ベンツのハイブリッド車の駆動用バッテリーも200万円程度の交換費用が請求されるんですよねぇ(笑)。そう考えると、日本のハイブリッド車の駆動用バッテリーは新品交換でも破格に感じてしまいます。

もとい。

ドイツでは現代自動車(ヒュンデ)の燃料電池車、ix35(日本未導入)でも同様な高額修理費用が請求されたとして話題になっています。2016年に新車で購入された、ix35は市販車初の燃料電池車で価格は約5万ユーロだったそうです。この7年で5万2000マイルを走破し、ノートラブルだったそうです・・・、今までは。

ある日、突如、うんともすんとも言わなくなったix35、ディーラーでトラブル診断をすると燃料電池スタックにエラーメッセージが出たそうです。修理は燃料電池スタックの交換で費用は・・・、新車時価格のほぼ倍の「10万3764.17ユーロ」(!!!)という連絡が入った、とのことで話題沸騰中です。新車保証は初年度登録から5年間だったので、保証は前述のテスラ車同様、ありません。さすがに、新車時価格の倍払ってまで乗りたいとは思わないでしょう・・・。

ヒュンデとしても「良い解決案を検討中」とテスラよりは“期待”が持てる対応をしそうな雰囲気ではあります。あくまでも推測ではありますが、現行モデルへの乗り換えを優遇価格で提案するのではないでしょうか?なお、国によって異なるケースもあるようですが、現行モデルなら10年/10万㎞保証付きだそうです。

トヨタは初代ミライの保証を初度登録から5年/10万㎞としていましたが、令和2年に発表されたサービスキャンペーンの一環で「9年」にまでわざわざ延長しています。なんでもトヨタによると:“READY OFF時の排水制御が不十分なため、冷間時から燃料電池スタック全体が暖まらないショートトリップ走行を繰り返すと、燃料電池スタック内の水素通路に生成水が滞留する可能性がある。また、この状態でごく短時間の始動・停止を行うと一時的な発電不良が生じて異常を検出し、次回READY ON時に警告灯が点灯することがある。また、この事象が繰り返し発生すると、燃料電池スタックの性能が低下し加速が鈍くなる場合がある”とのことです。

当該症状が出ている車両については、燃料電池コントロールコンピュータのソフトを対策ソフトに更新し、燃料電池スタックの発電状態を点検し、性能低下が認められる場合は燃料電池スタックを交換する、とのことです。もちろん、無償で・・・。

「保証が切れたなら、そこまで」と杓子定規なテスラ、「保証は切れたけど、この修理代は酷いよね」と所有者に歩み寄るヒュンデ、「燃料電池スタックの弱点見つけたから、保証期間延長するわ」と安心感を与えるトヨタ、新エネルギー自動車に対するメーカーのスタンスの違いが見られて・・・、面白いです。