フランス・パリには「Hype」という燃料電池車だけをタクシー・フリートに用いている会社が存在します。元々は「Société du Taxi Électrique Parisien」(パリ電動タクシー協会)という社名で2009年に設立され、その名の通り電気自動車のみをタクシー・フリートにしていました。社名変更をしたのは2015年で、同社のフリートも燃料電池車に切り替わりました。

経緯は定かではありませんが、真新しい脱炭素路線を打ち出すことで話題性を狙ったのでしょう。2015年はフランスでちょうどヒュンデとトヨタの燃料電池車が販売された年でもあり、パリでCOP21が開催された年でもあります。15台ではじまったタクシー・フリート、2018年には100台に拡大し、2023年には300台を超え、現在ではステランティスのシトロエンとプジョーから50台のクルマ椅子搭載が可能な燃料電池ミニバンの運用も開始しているそうです。

なお、このステランティスのクルマ椅子用燃料電池ミニバンは今夏のオリンピック用に1000台が投入されます。Hypeは2024年度中に燃料電池車1500台を走らせる、とプレスリリースで発表しているのは・・・、オリンピック終了後にこの1000台を引き取る、ということでしょうか。余談ではありますがステランティス、今後毎年10万台の燃料電池車を生産し、世界シェア40%を目指すと公言していましたね。

もとい。

もちろんHypeは脱炭素に向けた潤沢なフランス政府による助成金を受けています。なんと車両購入だけでなく水素ステーション建設・運営、そして他都市へのHypeタクシー展開にまで助成金が支払われているそうです。昨年には1800万ユーロを得て、Hypeはル・マン、ボルドーとフランスのみならず、ベルギー・ブラッセル、スペイン・バルセロナ、ポルトガル・リスボン、ポルトガル・ポルトにまでその営業範囲を広げるそうです。

利益が出る体質ではない、Hypeの水素はまだ化石燃料由来、など様々な批判は出てはいるようですが・・・、本気で脱炭素やるなら、これくらいやらないといけないと感じる今日この頃です。並行して太陽光発電用パネルや蓄電器のライフサイクルへの研究も進められることでしょうし、ね?

ちなみにフランスでは、HysetCoという会社がトヨタ・ミライのタクシーを約400台ほど運用しているそうですよ。皆さん、助成金・・・。