スウェーデンのハイドロフォイル(水中翼船)メーカー、カンデラにポールスター(ボルボ)がEV用電池ならびに充電設備を供給することになりました。地球温暖化につながる排出ガス低減の流れは、プレジャーボートの世界にまで押し寄せている、ということでしょうか?

ハイドロフォイルとは、推進時に発生する水の抵抗を減らす目的のため、船腹より下に「水中翼」と呼ばれる羽のような“構造物”を持った船を指します。水中翼は速度やアクセル開度に応じてコンピュータ制御により、コントロールされています。これにより水の抵抗を減らすことで、高速かつ省エネを実現できるのです。

自動車メーカーによるバッテリー供給、何もこれが初めてではありません。2017年にはBMWの電気自動車、i3が搭載していたバッテリーとマネージメントシステムがドイツの電動船外機メーカー、Torqueedoに供給されたことがあります。ただ、i3のバッテリー、そこまで容量の大きなものではなかったので、あまり話題にはなりませんでしたね。

また、ボルボ・ペンタ製のディーゼルエンジンにプラグイン式のシリーズハイブリッドシステムを組み合わせた、電動クルーザーも登場しています。ただ、こちらは「排出ガスゼロ!」と謳えない、という点でインパクトに欠けていました。

その点、カンデラとポールスターのコラボは、ちょうどいいタイミングかもしれません。バッテリー稼働時間(航続距離)はi3と比較すれば格段に長くなっています。そして、そもそもプレジャーボートにおいてハイドロフォイルの存在が珍しく、さらに電動化となることで環境コンシャスな富裕層への訴求を強めようとしているのでしょう。

と同時に、ポールスターはノースボルト社とJVでバッテリー生産を行う予定で、OEM供給のモデルケースとしたい思惑も見え隠れします。トヨタがミライの燃料電池を用いて、レクサスブランドのクルーザーに取り組む姿・・・、MiraiEnergyには見えます。

ただ、クルーザー業界は既に高級ブランドによるヒエラルキーが形成されており、どうせならフツーのクルーザーではなく、カンデラのようなハイドロフォイルなり、見た目が強烈なホバークラフトなりで展開したほうが世界的なインパクトは大きいですよね。例えば、Neoceanのような・・・。