地球温暖化対策の要として電気自動車がもてはやされている昨今ですが、“距離ガバ”(一度の走行距離が多いドライバーを指す言葉だそうです)であるMiraiEnergyはイマイチ納得がいきません。「高速充電器が拡充してきた」、「15分で最大275㎞走れる」などと謳われても・・・、次の目的地に充電器があるのか否か、場所によって状況は異なります。勝手気ままに走る、というドライブ、あまり皆さん、興味ないのでしょうか?そして・・・、高速充電を繰り返すと既存のバッテリーでは寿命に悪影響を及ぼすことは周知の事実なのに、問題化するのは数年後ゆえにあまり声を大にして指摘する人はいません。

もっとも、ほぼ決まったエリアでの移動であれば電気自動車の維持費の安さ(車両売却時の価格は不明)、走りの良さ(電気モーターのトルクがもたらす加速性能は凄いです)は認めます。でも、一台あたりの環境負荷、バッテリーに必要なレアアース、電気の発電方法などやっぱり、本当に環境に優しいのか気になるんです。と同時に昨今の電気自動車人気は、本当の地球温暖化対策というよりも、目先の維持費の安さにつられているのと、ファッショナブルなのではないか、と思ってしまいます。

もとい。

電気自動車に代わるゼロエミッションのソリューションとして、燃料電池車が挙げられます。ただ、その販売台数は・・・、電気自動車の足元にも及びません。特にアメリカにおける燃料電池車の販売台数の少なさには、閉口してしまうレベルです。Hydrogen Fuel Cell Partnershipのデータによると、2023年第1四半期にアメリカで販売された水素燃料電池車はたったの・・・725台で、1年前と比べて30%近く減少しています。電気自動車よりも、スーパーカーよりもレアな存在の燃料電池車こそファッショナブルである、と言えそうです。

アメリカにおける同時期の普通乗用車総販売台数約370万台、そのうち電気自動車の登録台数約25万7507台(前年比63%増)であったことを鑑みれば、燃料電池車は・・・、天然記念物級です。なお、カリフォルニア州だけでも、第1四半期に約87,525台の電気自動車と16,470台のプラグインハイブリッド車が新規登録されたそうです。現在、カリフォルニア州で販売されている燃料電池車はトヨタ・ミライ668台とヒュンダイ・ネクソ65台の2車種だけです(ホンダ・クラリティは少し前に撤退しました)。

参考までに昨年度のトヨタ・ミライは合計2094台、ヒュンダイ・ネクソは408台でした。燃料電池車の累計販売台数は3月時点で15,700台(約8割はトヨタ・ミライ)を超えてはいましたが・・・、電気自動車とは全然、勢いが違います。車両価格、水素ステーションのインフラ、何がここまで環境対応車の人気を両断しているのか・・・、気になるところです。

そこでちょっと調べてみると、カリフォルニア州では現在、58箇所の水素ステーションが稼働しています。サービス停止中の水素ステーションは6箇所許、認可申請中のものが23箇所、建設中のものが7箇所となっています。ちなみに東京には現在22箇所のものが稼働しています。東京の約20倍の面積を誇るカリフォルニアですが、水素ステーションは東京の約2.5倍しかない、というのがネックなのでしょうか。なお、ヒュンダイはトヨタよりも積極的に水素充填時間の短さ、航続距離の長さをアピールしている様子です。

それでも商用トラックやバスでの燃料電池搭載は活発化してきているような雰囲気を感じる今日この頃。もしかして、普通乗用車の燃料電池車は「PR目的」で真の狙いは商用車トラックやバスなのでは???